脳科学で人格は変えられるか?_エレーヌ・フォックス_要約します

人格って遺伝とかの問題じゃないんすか?

脳科学の専門家が過去に行ってきたいろいろな結果を踏まえた考察によると、一概にそう言えないみたいっす!



人格を変えることができるか?
結論を言ってしまうと、この問いに対する明確な回答は本書にはありません。


本書の内容を考察した結果、
「ポジティブ・ネガティブというレベルであれば変えることが可能なのではないか?」と思います。


順を追って説明すると、
まず、人格を形成している要素は以下3つが絡み合っているようです。

[su_box title=”人格を形成している要素3つ” box_color=”#fbed46″ title_color=”#0e1110″]1. どんな遺伝子を授かったか (先天的)
2. どんな出来事を経験するか (後天的)
3. ものごとの解釈 (どうやらここが大事)[/su_box]



1. どんな遺伝子を授かったか (先天的)

最近の研究によると、人類はみんな同じ遺伝子をもっていて、ひとそれぞれ発現状況が違うだけなのだとか。
つまり、何か特定の条件を満たせば、天才的な能力を発揮することができる遺伝子を発現できるんじゃね?っていう説もあるようです。



2. どんな出来事を経験するか (後天的)


どんな出来事が起こるかってわからなくね?運命じゃね?と思われがちですが、ポジティブな人はポジティブな出来事が起こりやすく、ネガティブな人はネガティブな出来事が起こりやすいという調査結果もあるようです。


3. ものごとの解釈 (この要素であれば変えられる)


人格形成には、ここに注力するのが一番望みがありそうです。
ものごとの解釈によって人格が形成される流れは以下のような感じ。
人格を変える方法をざっくりまとめるとこんな感じ。


───────────────────
客観的に「ポジティブ」とも「ネガティブ」とも捉えられる出来事がおこる。



脳の情報を処理する格パーツ同士が電気信号でつながる。
ポジティブな感情をフィードバックするパーツが繋がると、その情報に対してポジティブな感情になる。
ネガティブな感情をフィードバックするパーツが繋がると、その情報に対してネガティブな感情になる。



たくさんやりとりが行われると、結びつきが強くなる。
パターン化し、やがて人格となる
───────────────────


要は、
ポジティブともネガティブとも捉えられる出来事に対して、いつもネガティブな解釈をしていると、また似たような出来事に対してネガティブな解釈をしてしまう。


さらに、同じ解釈を繰り返すことによって、より脳内のパーツの結びつきが強くなり、人格が形成されていくということ。

なるほど。
解釈の積み重ねが人格を作っていくということっすね。
じゃあ自己啓発本によく書かれている「ポジティブになりましょ〜」的なやつ実践すればいいっすね。

本書の理論でいうと、そこは明確に違うと言ってるっす。
自己啓発本のポジティブと本書の言うポジティブは何が違うのか、本書を読んでもらうか、以下のまとめを読むっす。

目次

脳科学的な観点での楽観的な人と悲観的なひとの違い


fMRIという装置で脳をスキャンし、楽観的な時に活発になっている部分と、悲観的な時に活発になっている部分を特定していきました。

すると、楽観的な人と悲観的な人の脳の中で起きていることが全然違うことを発見しました。



【楽観的な人】
・側坐核(そくざかく)
・前頭前野(ぜんとうぜんや)
2つを結ぶ回路が活発になっていました。
本書ではこの働きのことをサニーブレインと定義しています。


【悲観的な人】
・扁桃体(へんとうたい)
・前頭前野(ぜんとうぜんや)
2つを結ぶ回路が活発になっていました。
本書ではこの働きのことをレイニーブレインと定義しています。


この回路というものは、脳内で情報交換などを行うための、電気信号の通り道ということです。

冒頭でも述べましたが、何度も情報のやり取りがされる事によって、「ニューロン」と呼ばれる「神経細胞」同士の結びつきが強くなり、やがては大きな回路へとなっていきます。


楽観的な人は、楽観に関する回路の結びつきが強い。
悲観的な人は、悲観に関する回路の結びつきが強いという事になります。

遺伝子の発現状況は変化する


遺伝子の情報が読み取られ、タンパク質となり、タンパク質が細胞となります。


よって、ニューロン(神経細胞)の状態に影響を与えているものは遺伝子になります。


遺伝子というと、先天的(生まれつき)なものであって、変えられないイメージがあると思います。



しかし、



実は後天的な要因によっても変化する事がわかっているそうです。
後天的な要因というのは、環境や出来事など。
後天的な要因によって遺伝子の発現状態に変化が生まれると、その情報を読み取られて作り出された細胞が変化するという事です。



[su_quote]DNAの配列の多様性──いいかえればそれぞれの遺伝子の型──が髪の色や身長などの肉体的な特徴だけでなく、 人格や感情などにも影響を与えうることには、ほぼ疑いがない。 だが、DNAは絶対だという伝統的な見方は、遺伝学の世界に最近押し寄せた新しい流れによってくつがえされつつある。 近年成長が著しいエピジェネティクス(後成遺伝学:「エピ」はギリシャ語で「(何かの)上」「(何かを)越えて」の意)の研究によれば、 遺伝子の作用はその人がどんな体験をしたかによって、生きているあいだじゅう変化しうる。[/su_quote]



イメージでいうと、遺伝子は図書館の本棚にならんでいる本のような感じ。


人を形成する遺伝子を一通りみんなもっているが、

・どの本が読まれて(発現)
・どの本が読まれない(眠ったまま)

というものに違いがあるため、個人差が生まれる。
その人の環境や、たぶん解釈なんかも影響して、発現状況を変化させることができるということです。

出来事や環境を左右するもの


この研究結果も面白かったので紹介します。



オーストラリアのメルボルン大学:
ブルース・ヘディ / アレクサンダー・ウェアリングの研究

人がどんなことを経験(出来事)するかは、その人の気質に影響する



オーストラリア・ヴィクトリア州の住民へ、数年間の聞き取り調査によってわかったこと。


・ポジティブな人は、ポジティブな出来事をより多く経験している。
・ネガティブな人は、ネガティブな出来事をより多く経験している。


気質というのは、要はもともとの性格です。
「出来事」と「性格」のどちらが、人の幸福度を左右するのか?という概念ではなく、「性格」が「出来事」を左右しているということです。



これが自分にも当てはまると考えたら、割と衝撃的ですよね。
平等じゃなかったんだって。。。

物事の解釈を変える事により脳内に変化


オックスフォード大学:エレーヌ・フォックス(著者)の研究

・解釈を変えることによって扁桃体(へんとうたい)の働きを抑制できるか?



被験者にネガティブな画像を見せ、「不安」や「恐怖」(ネガティブ)な感情の状態にする。
その後、被験者にポジティブに解釈するように指示しました。
たとえば、グロテスクな写真を見せ、「これはマネキンであって、つくりものだ」と解釈したり。



すると、fMRIで脳内の状態をスキャンしたときに、扁桃体(へんとうたい)(悲観的に関する部分)の活動が抑えられている事がわかりました。



遺伝子や環境・出来事というのは、すぐに変えることは難しいです。
しかし、物事の解釈をつみかさというのは、自分次第で変えることができる。



人格を変えるには日々の出来事に対し、解釈を変えるということを継続していくのが大事になりますね。

楽観的と悲観的どっちがいいの?


ポジティブとか楽観主義がいいと思われがちですが、ネガティブが完全に悪ということではありません。
ポジティブとネガティブ、それぞれにメリットとデメリットがあります。


【ポジティブ】
メリット
・アイデアがでやすい
・寿命が延びる可能性が高い
・どんなことがあっても乗り越えられるという信念から、成功しやすくなったりする

デメリット
・人に騙されやすい
・よく怪我をする
・危険を察知する能力が低い



【ネガティブ】
メリット
・危険を察知する能力が高い
・人の感情を読み取る能力が高い
・慎重に物事を進られる

デメリット
・うつになりやすい
・楽しい感覚が長続きしない
・寿命が短くなる可能性が高い



どちらかに偏るというよりも、要はバランスが大事そうですね。



ポジティブのメリットについてはこんな研究結果もあったようです。

180人の修道女を対象に行った研究


ケンタッキー大学:デボラ・ダナーの研究



180人の修道女を対象に、彼女たちが22歳の時に書いた自伝を分析し、
・楽観的なタイプ
・悲観的なタイプ
に分類し追跡調査を行いました。



すると、



楽観的な修道女が平均して10年も長生きだった事がわかりました。



修道女は世間から隔離された生活を送っていて、食事や生活週間にもほとんど大差がありません。
楽観的や、悲観的といった性格が寿命に起因している可能性が非常に高いといえます。

ポジティブな感情の方がアイデアがでる?


ノースカロライナ大学:バーバラ・フレドリクソンの研究 



被験者を2つのグループに分け、片方のグループは被験者をポジティブな感情の状態に。
もう片方のグループはネガティブな感情の状態に。



「30分間自由な時間があったら何がしたい?」
という質問をしたところ。



ポジティブな感情の被験者の方がアイデアがたくさんでました。
何か新しい事を発想したり、アイデアを考えるときは、ポジティブな感情の方が効果的という事がわかる研究成果です。

ポジティブに解釈とポジティブシンキングの違い


冒頭でも述べたとおり、
・自己啓発本のポジティブシンキングと、
・脳に変化を起こす事のできるポジティブな解釈
とは何が違うのか?



本書の定義でいうと、
自己啓発系のポジティブは、根拠がなくただの自己暗示でしかない。



脳に変化を起こすことのできるポジティブな解釈とは、適度なリアリティがあるものをいいます。


来年は年収1億に絶対なる!(今の年収400万)
イメージすればなんでも引き寄せられる!
病気が治ったことを想像すれば治る!

それダメな例っす


「自分はできる!」「できる!」といった感じに思ってないのに自己暗示だけで無理やりそう思うように努力。



「海賊王に俺はなる!」って言ってる人に関しては、行動が伴っていて、さらに本当に信じ切っているのでたぶんあのままでいいんだと思います。



しかし、一般人的にはリアリティがないと心の底からそれを信じることができません。
なので、ポジティブに解釈とは、適度なリアリティが必要です。



例えば・・・



例1. 久々にあった知人とすれ違いざまにあいさつをしたら無視された


【ネガティブに解釈】
→「嫌われている!?気づかないふりをされた」

【ポジティブに解釈】
→「忙しかったのかな?気づかなかったのかな?」



例2. 会議に遅刻。私を見た上司が微妙な笑みをうかべていた


【ネガティブに解釈】
→「遅刻した事に対して怒っている」

【ポジティブに解釈】
→「私が無事に会議に参加できて安心している」



このようなリアリティがある解釈だけが有効です。

まとめ_著者について


日々、物事の解釈を変える訓練や意識をすることにより、最終的に人格が変化する可能性がある。
それは、環境が変化したり、遺伝子の発現が変化したりするからです。



結果



人格を変える事ができる可能性がある


ポジティブとか楽観主義にフォーカスして紹介しましたが、ネガティブが完全に悪いものということではありません。

著者について


著者:エレーヌ・フォックス
オックスフォード大学
感情神経科学センター教授

NHK「白熱教室」という番組にもとりあげられました。
https://books.bunshun.jp/sp/noukagaku

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