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『考具』 ―考えるための道具、持っていますか?」
加藤 昌治(著)
本のタイトルが素晴らしいですよね。
何を伝えたいのかが明確にわかります。
何かを考える時、仕事でもプライベートでも。
この本で紹介されている「考具」を使うと、すごく効率が上がります。
加藤 昌治氏について
1994年、博報堂入社。
情報環境の改善を通じてクライアントのブランド価値を高めることをミッションとし、マーケティングとマネジメントの両面から課題解決を実現する情報 戦略・企画を立案、実施する毎日。
その他著書
『アイデアはどこからやってくるのか ─ ─ 考 具 基礎 編』
『 チームで考える「 アイデア 会議」 ─ ─ 考 具 応用 編』
『 発想法の使い方』
アイデアの定義とは?
アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない
つまり、アイデアというのは、すでに頭の中にある情報が組み合わさって新しいアイデアになります。
何かを考えている時の頭の動きですが、放射状(蜘蛛の巣状)に拡がって情報を探しはじめます。
連想する情報が紐づいて引き出され、その引き出された情報の中から絞って行くという動きをしているそうです。
たとえば、
今日の仕事のことを考えていたのに、いつのまにか今朝見た電車の広告が頭に浮かんだり、ふいに昔の記憶が蘇ったり。
かといって週末の予定のことを忘れているわけでなく、記憶とか情報がいったりきたりしている感じ。
そういった頭の動きを邪魔してしまうのが、
パソコンに文字を入力する時のような直線的で規則的な動きをする作業。
文字を直線的にしか入力できない環境だと頭の動きも制限されやすくなって、別の情報を関連づけて考える事がしづらくなってしまうそうです。
そこで、考具が役に立ちます。
考具を使用する大前提
・自分が今があつめたい情報とは何か?
・何を解決しなくてはいけないのか?
という事を決めておきます。
そこがさだまったら、関連性有る無しに関わらず情報をとにかく集めます。
次に集めた情報を絞ってアイデアにしていくという流れになります。
考具にも大きく3種類のものがあり、場面に応じて使い分けて使うのが効果的。
- 情報を収集する考具
- 情報を展開させる考具
- アイデアを収束させる考具
本書で紹介されている考具は全部で21個ありますが、
使いやすいもの10個に厳選して紹介します。
情報を集める考具
先ほど紹介した概念である、まずは情報を収集。
情報を集めるために効果的な考具になります。
考具1:カラーバス
街中や、どこかお店に入った時などどこでもいいのでまずカラーを決めます。
色を決めたらその色のものを収集していきます。
例えば「赤」で収集していくと
【日本女子大学の看板】→【ECC外語学院】→【養老の滝】→【パチンコ&スロット】→【女の転職】→【車検館】→【no smoking】→【怒涛の英語と個人指導】→【丸ノ内線】→【電光掲示板の時刻】→【07;34】→【ニチレイチャーハン】→【鈴木亮平】→【大阪系のおばちゃんの鞄】→【パソコン修理】→【コナミスポーツ】→【散髪倶楽部】
などなど。
一見何も関係なさそうなのですが、いつもは意識されないために頭に入ってこない情報が入ってくることになるので、やるたびに新しい発見があります。
こんな時に使えます。
・自分にとって使えそうな何かを探す時
・目前の問題解決につながりそうなヒントを探す時
カラーバスの特徴は
・色につられてヒントになるアイテムが集まってくる
・普通は結びつかないものを同時に連想させる事ができる
・普段は意識したものしか情報が入ってこない
・色を限定して街中にある情報を強制的に収集できる
考具2:聞き耳を立てる
間接街頭インタビュー。
リアルな生声をモノにする。
電車の中や、飲食店、喫煙所、街中を歩いている時に、誰かの話している内容に耳を傾けてみる。
普段はただの雑音にしか聞こえないと思いますが、何を話しているのか聞き耳を立てていると新しい発見があったりします。
考具3:ちょいメモ
人はすぐ忘れます。
気になったら、ちょこっとメモる!
なんの脈略もなく思いついた事をメモしておく。
メモに残すことでそのワードが印象に残ります。
すると、時間差でその情報が何かに関連づけられて新しい何かが生まれる時があります。
考具4:フォトリーディング
本と雑誌はネタの宝島。自分の好きな宝石だけ頂戴する。
本と雑誌は情報の宝庫です。
すでに膨大な情報が整理され、編集された結果なので良質な情報が満載です。
ただ、単行本は1日に200冊が刊行され、雑誌も4500冊ほど種類があるそうで、全部を読むには不可能です。
ではどうしたらいいのか?
読書の定義を変えて読む
読書の定義を変えるとは?
「自分にとって意味のある重要な部分だけを読む」
「必要な情報を探す」
つまり全部読まなくていいんです。
例えば目次をパラパラ読んで、大事なこと書いてそうな箇所だけを読むだけで情報が得られます。
情報を展開し、発想が拡がる考具
集めてきた情報を広げていきます。
集めてきた情報だけでは、まだ繋がりがなかったりします。
そこで、情報を展開し、発想を広げる考具を使います。
考具5:ポストイット(付箋)
目の前に威勢よく拡げる。
記憶を頭の外に引きずり出すメモ用紙。
アイデアとなりそうな情報、またはヒントとなりそうな断片情報を付箋に書きまくっていきます。
・原則1枚に1ネタ。
・書いた付箋は机や壁や目につくところに直感的に貼り付ける。
その時に「これとこれが組み合わさってこうならないかな~」とか考えながら。
思っているより雑な感じでOK!
普通は義務教育などで、一直線に決められた順番で作業を行うという常識に支配されています。
ですが、アイデアを考えるなどの作業にこういった常識は邪魔になるので、ランダムな感じに、書いた付箋を綺麗に整理したりしなくていいんです。
考具6:マンダラート
シンプルなフォーマットから不思議なほどアイデアが出てくる。
正方形の四角いマスを9つならべたものがフォーマットになります。
※9つにしぼらず、もっと展開してもOK!
中心にテーマを書き、四方八方にアイデアを書いて行く使い方をします。
重要なのは、関連するネタや連想したものを全部書き出し、周りの8つのマスをすべて埋める事。
埋まらないマスも出てくると思いますが、ココを考えるために他のマスに書いたことを材料に新しいものを考えていきます。
ここでも几帳面になりすぎないことが重要です。
どうせ自分しか見ないものなので、適当に思いついたものを書いてマスを埋めていきましょう。
すでに頭の中にある、既存の情報を引き出すイメージです。
ちなみに現在メジャーで活躍されている大谷翔平選手もマンダラートを使用していたそうです。
大谷翔平選手が高校生時代に書いたマンダラート
考具7:マインドマップ
放射状に展開する頭の中をそのまま表現してみる。
BMW、Nike、HP、IBM、Microsoft、CANON等々大手企業が、ブレーンストーミングに使用しているらしい。
こちらも中心にテーマを書き、四方八方にアイデアを書きだしていく考具です。
マンダラートとの違いは、マスを埋める形式のように制約がないことです。
中心に書いたテーマのサブテーマを周りに書いていき、そのサブテーマをさらに分解して行く感じ。
四方八方に展開していくイメージです。
フォトリーディングとの相性が良く、読んだ本をマインドマップで整理して行くことを推奨しています。
こちらも有名なアイデア発想法なので、アプリやらPCのソフトなんかもあるようです。
ちなみに私は「iThoughts」というアプリを使ったり、手書きで書いたりしています。
考具8:オズボーンのチェックリスト
行き詰まったらこれ。迷路脱出のための処方箋。
発想の調子が悪い時に当てはめてみると効果的のようです。
新しい視点を強制的に得る事ができます。
9つのチェックリストに当てはめていく感じです。
【チェックリスト】
- 転用したら?
- 応用したら?
- 変更したら?
- 拡大したら?
- 縮小したら?
- 代用したら?
- 置換したら?
- 逆転したら?
- 結合したら?
たとえばこんな感じです。
・転用したら?
現在のまま新しい使い道は?
・応用したら?
似たものはないか?真似はでいないか?
・変更したら?
意味、色、動きや臭い、形を変えたらどうなる?
・拡大したら?
大きくする、長くする、頻度を増やす、時間を伸ばすとどうなる?
・縮小したら?
小さくする、短くする、軽くする、圧縮する、短時間にするとどうなる?
・代用したら?
代わりになる人や物は?材料、場所などを代えられないか?
・置換したら?
入れ替えたら、順番を変えたらどうなる?
・逆転したら?
逆さまにしたら?上下左右・役割を反対にしたら?
・結合したら?
合体、混ぜる、合わせたらどうなる?
考具8:ブレーンストーミング
他人のアイデアにただ乗り。
気がつきもしなかった視点をもらう。
広告業界では「ブレスト」と略すそうです。笑
ブレストを行う上での絶対ルール
- ルール1 他人の意見を否定しない
- ルール2 自由奔放な発言を歓迎する 夢物語でも良い
- ルール3 質より量を求める
- ルール4 他人のアイデアに便乗する
どっちのアイデアが優れているなどの批評が目的ではなく、より多くのアイデアを出すことに注力する。
自分では到底思いつくことのできなかったアイデアに巡り会えるチャンス。
そうした別の視点を盗む
アイデアの四則演算。アイデアに収束させる考具
考具9:5W1Hフォーマット
基本中の基本。
まずは5W1Hで条件固め。
実際に発想したアイデアを実際に使えるレベルにするために、
基本のフォーマットとして5W1H。
WHO 誰が
WHEN いつ
WHERE どこで
WHAT 何を
WHY なぜ
HOW どうやって
考具10:タイトルをつける
第一印象はやっぱり大事。聞く人の想像力を呼び起こす。
スバリ何!という感じ。
少ない分量で大量の情報を届けるということを意識。
コピーライティングを意識。
考具10:マンダラート 5W
5Wを一目瞭然に収めれば、全体像が明確になる
マンダラートのフォーマットに5Wを落とし込む
誰が、いつ、どこで、なぜ、
日常で考具を意識する
紹介した考具ですが、仕事だけではなく、プライベートでも使えると思います。
・旅行の計画、貯金の計画、目標を考えたり。
・何かを考える時、悩んでいることを明確にしたり。
・誕生日プレゼントを考えたり、週末の予定を考えたり、勉強した内容のまとめなど色々。
紹介した「情報を収集する考具」を使用すれば忙しい人でも、
日常生活全てが情報源に変わると思います。
普段何も意識せずに見落としていた情報を拾えたりと、可能性の広がりを感じます。
つまり、普段の心がけ次第で新たな視点をもらえたり、問題の解決策が不意に思いついたりするのではないでしょうか。
そして、良いアイデアを出す本質は、アウトプットです。
頭の中にある情報を外に出す作業を行うことによってそれが視覚として情報が入ってきたりして、また新たな視点が生まれたりするという事だと解釈しています。
たとえば、ブレーンストーミングでは、みんなが何かをアウトプットしてみる事で、それを聞いた人がその意見がきっかけで新しい発想がうまれるかもしれません。
実際に使ってみて、うまく使えているのかよくわからない部分もありますが、使いながら自分流にアレンジしても良いかもしれませんね。
Amazonのレビューでコメントしている人の中に、こんなのがありました。
この本で紹介されている考具は少し意識すれば誰にもできることばかり。
ただ、それを意識するかしないかが大きな違いになって表れてくるのだと思います。
自転車の練習と同じで、最初はぎこちない感じの使い方になるかもしれないですが、とにかく使用していく事が大事ですね。
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